2015年6月
« 11月   11月 »
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
村井和之/MURAI Kazuyuki
OPENERS FAST TRACK

テーラーメイドトラベル専門の旅行会社、株式会社コスモクラーツトラベル代表。細やかな気遣いと豊富な人脈や知識を必要とする、VIPのハンドリングに定評があり、日本、海外のVIPを多く顧客にもつ。みずからの旅の経験や視点、世界の人脈を駆使し、テレビ番組や雑誌の海外企画も担当している。


月別アーカイブ: 6月 2015

古のリーダーたちのサードプレイス

度々、お客様にご提案させていただいている『赤倉観光ホテル』に行ってきました。昭和12年に妙高山の中腹に建設された赤い屋根の高原のリゾートホテルは、今もなお、その風情を残しています。冬はスキー、夏はゴルフ。まさに高原を満喫する日本のリゾートの先駆者。スキーゲレンデのど真ん中にホテルがあるなんて、日本では珍しいでしょ。
 正直なところ、コスパはよいとは言えないの。このプライスラインまでいくと、他の選択肢もあるのが実情。アクセスもあまりよくないので、1泊でリフレッシュなんてとんでもない。かえって疲れに行くようなもの。連泊したほうが絶対によいと思うのだけど、トータルコストがさらにアップするし・・・。なかなか難しいところだわ。提案するお客様を選んでしまうのもそんな理由から。食事もかなり頑張っていて、ファインダイニングは、レトロ調でクラシックホテルの風情が素晴らしい空間。そこでいただく王道のフランス料理。名物は、クレープシュゼットのプレゼンテーション。この王道の風情が分かるひとには十分に楽しめて、あたしは、都内でこんな風情を楽しめる場所なんてなくなってきたなあなんて思いながらしみじみなんだけど、その風情が理解できない人には、とても古臭く思えるかもしれないし。(和食レストランもあるのでご安心を)。うーん・・・。とにかく微妙なところ・・・。
 それでもなぜか気になる。それは、日本では、あんな立地に二度とホテルが作れないことが分かっているからかもしれません。

水盤越しに、高原の絶景を楽しめるビューポイント。ここで、一杯なんて最高でしょ!

 赤倉観光ホテルは、国立公園の中にあって、建物の増改築が厳しく制限されている場所。その条件の中、古い本館をメンテナンスしたり、リノベーションしたり、さらには、プールがあった場所に新館を建てて、進化させたりと様々な努力を重ねているのです。赤い屋根ひとつかけるのに制限があるのですから。
 眼下に広がる広大な景色。国立公園ですから、目障りな建築物が目に入ることなく、朝には雲海が広がり・・・ホテルのあちこちに、風景を眺めながらくつろげるビュースポットがあるの。ここで過ごす時間がとても心地よい。
 何より、赤倉観光ホテルは、『温泉』が素晴らしい。泉質が抜群にいい。妙高山地獄谷から湧き出る源泉をそのまま引いていて、加水することなく、源泉掛け流し。そんな素晴らしい温泉が、新館につくられた絶景の大浴場で楽しめるのが大好きなんです。

赤倉ゴルフコースから眺める赤倉観光ホテル

 それに、創業から50年以上が経過した隣接する『赤倉ゴルフコース』。妙高山を見渡す本当に素晴らしいロケーション。コース内の白樺やミズナラなどの木々も美しい。しかし、残念なことに、ティーグランウドが荒れていたり、ボールマークなどはきちんと直されてるんだけど、グリーンの芝もぎりぎりのコンディション。全体的にメンテナンスはされているのに・・。話を聞けば、この美しい高原にゴルフ場を維持することの難しさが見えてきます。火山灰を多く含む土壌は水はけが悪く、冬には、4メートルを超える積雪。ティーグラウンドは、昨シーズンの大雪による『芝の雪腐れ』が原因。グリーンの目に雑草が混じってしまうのは、雪解け水に、山からの様々な植物の種が含まれ、それらが定着してしまうからだそう。そんな過酷な環境について知れば、この素晴らしい地にゴルフ場を作り、今迄、これほどのクオリティを維持し続けてくれたことに、感謝の気持ちで一杯になる。このゴルフ場のおかげで、山も荒れることなく、近隣の自然が守られているという側面もあるのだから。
 昭和12年創業当時から現在までの歴史をひも解くギャラリーが館内にあるのですが、古のアルバムから語りかけられる当時の人々の想い。それがあたしの心を打つ。人生を謳歌したいと想う往年の時代のリーダーたちが、たとえ不便であってもこの地に集っていたのです。メインロビーの暖炉の前に座ると、彼らがお酒を片手に語り合う姿がイメージできる。外国に負けない国にしようと奮起した古のリーダーたちが、このメインロビーのサロンでしばしの休暇を楽しんだに違いないのです。
 そうだ!だから気分がいいんだ!赤倉観光ホテルの『気』がいい理由・・一線で頑張るポジティブな人しか、この山に入れなかったから!昔は、お金だけでなく、時間をかけてわざわこの地にやってくる人しか、このホテルの客じゃなかったと思うの。そんながんばり屋しか、ここにはいなかったんじゃないかしら。このホテルに泊るなら、コスパなんて考えてはいけない。この地にホテルやスキー場、ゴルフ場を維持するために、どれだけの人の力と、お金、そして、それらを継続する意思が必要か。それらをイメージできない人には、むかないリゾートかもしれません。この地にホテルを作ろうと思い立った創業者「大倉喜七郎」、そして、それらの遺産を守り、進化させる現オーナー。そんなオーナー同志が、バトンを渡し合っているホテル、それが『赤倉観光ホテル』なのです。
 あたしも、もっと頑張って稼ぐ!そして、想う存分連泊したいわ!


カテゴリー: 未分類 |