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村井和之/MURAI Kazuyuki
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テーラーメイドトラベル専門の旅行会社、株式会社コスモクラーツトラベル代表。細やかな気遣いと豊富な人脈や知識を必要とする、VIPのハンドリングに定評があり、日本、海外のVIPを多く顧客にもつ。みずからの旅の経験や視点、世界の人脈を駆使し、テレビ番組や雑誌の海外企画も担当している。


月別アーカイブ: 7月 2012

Per Seに学ぶ平等

Pae Se のエントランス。真っ青な扉の向こうは、大人たちの社交場。

同行したお客様をお連れして、アメリカを代表するシェフ、「トーマス・ケラー」率いるニューヨークのトップレストラン「Par Se」に行ってきました。
 今回は、お客様のアテンドなので、レストランアレンジも重要なミッションの一つ。話題のレストランを巡る旅なので、レストランセレクトは極めて重要。もうひとつ重要なのは、「予約が取れるか?」だ。
 ニューヨークの人気レストランは、日本の人気レストランとは違って、世界中の人々が顧客なので、日々予約が殺到している。高級レストランは、平日でも余裕で3回転はするのだ。良い席、良い時間をリザーブするのは、我々トラベルアレンジャーの腕の見せ所。しかし、僕は、いつもDanielsにお世話になっているので、Par Seでは、まだまだ新参者。Par Seの予約には、全く自信がなかった。
 基本、欧米の人気レストランは、1ヶ月前に、予約が開始されるのだけど、僕の予約ラインが脆弱だったので、事前にあらゆるつてを駆使して、予約開始日に備えたのですう。しかし、開始8分で、すでに予約終了〜。取れた予約は、夜の10時20分!日本人に、こんな時間に晩ご飯食べさせるのなんて、到底無理!どんな人気店の食体験だからと言って、何百ドルも払って、楽しめる分けないじゃん!!こりゃ、やばいことになった〜と内心思ってました。
 翌日の予約に再チャレンジ。次は、ホテルのチーフコンシェルジェと、Harpars Bazar でeditorをやっている友人から、フードジャーナリストを紹介してもらい、その人の口添えもいただいて、ようやく取れた予約が、21時15分。もうこれが限界だった。
 そこまでしても、取れた予約は、21時15分ですよ!どうしてかというと、Par Seに行ったら、すぐに分かります。どれだけの上顧客を抱えていることか。夏の19時〜21時は、ニューヨーカーにとってもベストな時間帯。特に緯度の高いニューヨークでは、夕暮れのロマンティックタイム。路面店が多い高級レストランだが、この店は建物の4階で、セントラルパークを見渡す場所。夕暮れのセントラルパークを見渡すビューは、そりゃもう素晴らしいのだ。そんなベストな時間のお席を、どこの誰だか知らない人に渡す訳がない。このお時間のお席は、このPar Seを愛するものたちだけが集う社交場のようなものなのです。たとえ、お席が空いていたとしても、この時間に、一見さんは入れないそうだ。徹底ぶりに脱帽!こんな背景なので、お客様にベストなアレンジをとことん目指すのが、僕たちトラベルアレンジャーなんだけど、結構ニューヨークに人脈を持っている僕でも、Pae Seは厳しかった。一見さんは、予約が取れたとしても17時か22時の予約がほとんど。常連になるか、アラブの石油王とか、世界的なハリウッドスターとか、そういうセレブリティになるしか、一見さんでベストな予約は不可能なのが、この店だけではなく、世界の高級レストランの常識。ホテル以上に、誰からの予約なのかが、とっても重要なのが、レストランの世界なのです。京都も同じでしょ?
もしベストな時間帯に予約がとれても、次のハードルがある。それは、ベストなテーブルポジション。
 Pae Seは、窓側、一段上がって真ん中、壁際と3つのエリアに分かれている。もちろん、窓側のお席は誰もが座りたいと思う場所。今回、スタッフに席を案内されるとき、「お願い!あの窓側の席に案内して〜!そこで壁方向に曲がらないで〜!」と祈ったが、やはり、壁際に曲がった。予想通り、一番奥の壁際の席だった。景色が良い場所、店内で一番、中心の場所には、絶対に座れないだろうなとは思っていただけど、予想通りの展開に、ちょっと残念〜。お客様にも、その店は事前説明済みではあったが、もし、窓側の席だったら、そりゃもう鼻高々だったのに〜。目立つ場所の席には、上客だけではなく、その店の雰囲気を向上させる美しい身なり、振る舞いができる人しか座れない。だって、その店にとって、店の雰囲気を決定づける看板席でもあるのだから。だっさい人が座ってたら、お店のイメージが悪くなっちゃうでしょ。そんなことはさておき、たとえ、壁際の席であったとしても、私たちの食事やサービスは申し分なく、本当に心から楽しめるディナーだったことは断言しておきます!本当に素晴らしい!こんな風に一見さんのハートをわしづかみにして、何度も通わせ、常連に育てていくのだ。案内したお客様も相当に満足してれた。途中から、私たちのテーブルをPar Seのキャプテンが担当してくれるようになり、様々なトークを交わすうちに、キッチンツアーに誘われた。これは、サプライズ!Par Seのキッチンを案内してもらい、このエンターテイメントの裏側で、どれほどのプロが格闘しているかを見たお客様の感動は、さらに大きなものに。キャプテンは、このお客様のハートもしっかり盗んでいった!さすがだ!!
 それよりもうれしかったことは、このお客様が、様々な有名レストランのや予約を取ったことに感謝してくださったことと、こういう常連優遇という姿勢を賞賛してくださったこと。日本だと、先に予約したお客様優先という感覚がある。どんなに有名店でも、かなり早くに予約すれば、一見さんでも誰でも予約はできてしまう。いわゆる早い者勝ち!雑誌やテレビを見た、ミーハーな客も簡単に食体験が手に入り、そのたった一度きりの経験で、あーだこーだーブログに書いちゃったりする。その風潮が、とても嫌だとおっしゃったのだ。 こういう名店に大切にされる客になりたい!そんな風にして、自己研鑽をし、一線を走ってきたお客様にとって、この店のスノッブさは、新鮮に映ったらしい。その土地、その店の文化や歴史を理解し、旅を楽しむ成熟した大人のお客様との旅は、僕にとっても本当に楽しい。
 これからの若者たちに、こういう世界があることを知り、平等にもいろいろなレベルの平等があることを学んでほしい。人間としての基本的平等、努力した人に平等に与えられるものなどなど、平等は様々だ。Par Seだって、決して差別しているわけではない。よい客になるよう、努力すれば、Par Seの上顧客リストに名を連ねることができるのだから。そのチャンスは、皆に平等に与えられているのです。今回のお客様のように、世界の有名レストランの予約を取ることが、そんな簡単なことではないことをご存知で、レストランのセレクト、予約に対して、きちんとフィーをお支払いくださるお客様が、もっと増えることを懇願している。食体験は、旅の感動を構成する、重要な要素なのですから。ニューヨークレストラン、かなり気分が上がりますので、ぜひ、おしゃれしてお出かけくださいませ!


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