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村井和之/MURAI Kazuyuki
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テーラーメイドトラベル専門の旅行会社、株式会社コスモクラーツトラベル代表。細やかな気遣いと豊富な人脈や知識を必要とする、VIPのハンドリングに定評があり、日本、海外のVIPを多く顧客にもつ。みずからの旅の経験や視点、世界の人脈を駆使し、テレビ番組や雑誌の海外企画も担当している。


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安いは命がけ!

沈没したコスタ コンコルディア号 2012年 ロイター/Vigili del Fuoco

すごーく久しぶりにクルーズの相談があったので、今日はクルーズのことを書きたいと思います。
今年1月13日日に発生した、イタリアのクルーズ船「コスタ コンコルディア」座礁事故。テレビや新聞は、しきりに「豪華客船沈没!」って報道してましたが、コスタクルーズなんて、全然豪華客船じゃありませんから!ただのカジュアル船です。僕は、一度も提案したことのない船。だって、本当に安っぽいんだもの。というか安い。このオフのど真ん中に、クルーズがわずか1泊100ドル〜300ドル程度!しかも3食ついてる!日本のパッケージツアーががんばって売っちゃうわけです。
クルーズは、一度乗船したら、目的地まで下船できません。船の中で3食食べなきゃならないし、同じ乗船客、同じスタッフとずーっと過ごさなきゃならないのです。あまりおいしくない食事、サービスレベルの低いクルー、上質でない客層。こんな船の長期クルーズに参加してしまったときには、本当につらい旅になること間違いなしです。まっ、そのひとつが、カジュアル船「コスタ クルーズ」だと僕は思っています。だって、ごはんまず〜い!食器もコップもプラスチーック!ショーは、一般人のお遊戯レベル!船長、金髪女とレストランで食事!船長真っ先に逃げちゃう〜!スタッフも救命ボートの取り合いに参戦!それでも、日本のメディアや旅行会社は「豪華客船」と表現する。
日本人は、クルーズ=豪華絢爛!というイメージを持ってしまうようですね。このコスタクルーズ事故のおかげで、クルーズ旅行に出かける気が失せた人も少なくないはず。皆さん、何度も言いますが、コスタクルーズは豪華客船ではありませんから!弊社では、豪華客船、ラグジュアリークルーズに乗りたいというお客には、「SILVER SEA」とか、「クリスタルセレニティ」なんかを提案してます。ただ、SILVER SEAは、お部屋やサービス、ダイニングなど本当に素晴らしい!のですが、カジノはないし、ショーなどのエンターテイメントは弱いので、自分のお部屋でお友達呼んでパーティするみたいな、ちょっと大人な過ごし方ができない人が乗ると退屈かも。海に浮かぶ高級リゾートホテルって感じかな。クリスタルセレニティは、NOBUのシェフ松久さんがプロデュースした和食レストランや寿司バーが人気。まっ、日本で有名な「飛鳥」の流れを組むクリスタルクルーズの船なので、外国船ではありますが、日本人には親しみやすいのではないでしょうか?
あと、日本人にもよく知られた「QE (クイーンエリザベス号)」。この船も微妙な船。宿泊している客室のカテゴリーによって、アクセス制限があるの。クイーンズグリルクラス、プリンセスグリルクラス、その他大勢みたいなカテゴリーになってるんだけど、(その他大勢といってもそれなりのお客様ですが)アクセスできるダイニングが違う。もちろんクイーンズグリルがトップ。ラウンジもダイニングも素晴らしい!スタッフのサービスも極上!クイーンズグリルには、プリンセスグリルクラスの客もアクセスできないの。何より、お客層が違うの!その他大勢クラスは、ブリタニアっていうダイニングを使うのだけど,もちろんそれなりに上質、でも、クイーンズグリルに比べたらその他大勢ね!って感じ。さすが英国!パブリックスペースは、みんな一緒だけど、そこでしっかり階級差を見せつけちゃう!!浸れ、優越感!って感じ。どうせ乗るなら、クイーンズグリルクラスに乗り、これぞQE!という体験をしてみては??
他にも、エンターテイメントに特化した「ディズニークルーズ」(想像はできますよね?)毎日お祭りのように騒ぎまくり、海のテーマパーク「ロイヤルカリビアンクルーズ」、ゲイしか乗船できない「ゲイクルーズ」、スーパー金持ちが所有するヨットをレンタルし、好きなシェフやソムリエなんかもアレンジして地中海を自由に航海する「チャーターヨット」など個性は様々。船の大きさも違うし、大きさによって、通過できる航路も違う。部屋のしつらえも違う。プールやお庭がある船もあれば、お部屋でしっぽりする船もあるし、毎日飲んだくれて、カーニバル!という船もある。目的や好みにあわせて、船や航路を選んであげなきゃならないのがクルーズなのです。余談ですが、飛鳥クルーズは、日本人率世界ナンバー1!海の上の老人クラブって感じ。リピーターが仕切っていて、新入りにはちょっと嫌な感じかも。決まり文句は「あなた何回目?」。客同士の順位付けを何度も目撃!!まるで、いたれりつくせりの海上の高級温泉旅館ね。こんな風に、多種多様なクルーズがあるのに、たまたまクルーズ船の沈没があったからといって、コスタクルーズを「豪華客船!」なんて呼んでしまうメディアや旅行会社に愕然としちゃうのです。
そもそも、こんな冬のど真ん中に、あんなルート航海しないし!天気も悪いし、波も荒い。さらに乗っているクルーの質が悪いというお土産付き!オフシーズンの間に、少しでも船をまわして稼ぎたいからか、冬でも比較的あたたかなこのエリアに船を出すんだけど、基本的にはオフシーズンだから!そんなクルーズを販売する日本の旅行会社も勇気あるよね!百歩譲って、他の真の豪華客船が座礁したとしても、優秀なクルーがお客様の安全を優先し、適切に完璧に避難させたと思うの。コスタクルーズ・・船長がいちゃついてた女の荷物をスタッフに運ばせ、女と荷物を先にボートに乗せて逃がし、ちゃっかり自分も逃げちゃった。こんなクルーが乗っている船、いくら安いからといっても、うちなら絶対に勧めない。でも、最近のお客様って、インターネットでいろいろ調べちゃうでしょ。そうすると、こんなコスタクルーズでも、絶賛する一般客がいるみたいで、そういう人が書いたブログとか読んで、心にスイッチが入っちゃうんです。みんないいって言ってるんですが・・と。ブログ書いてる人たち、プロじゃないじゃん!責任ないじゃん!!せめて、安くルーズの割には楽しめました〜!みたいなタッチで書いてほしい。がんばって理由を説明して別なクルーズを提案しても、高いクルーズを販売したいからでしょ?なんって嫌みを言われちゃうことも。プロの言うこと信じてくれよと心の中で叫んでる。どうせ帰国してから、たんまり文句いうんだから・・・。
海外旅行はできるだけ安く・・・そんな風潮が定着していますが、クルーズだけではなく、どんな旅行も、相場よりも安いというのはどこか歪みがあるものです。豪華クルーズが安いわけないので、物事の相場観を意識していただけたらと願います。相場より安い旅行は、命に関わる事件に巻き込まれることもあると、知っていただけたらとてもうれしいです。私たちは実際に旅をし、経験し、学びんでいます。企画手配料を別途頂戴するのは、お客様の旅の質を保障するために必要な経費なのです。


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