2011年12月
« 11月   1月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
村井和之/MURAI Kazuyuki
OPENERS FAST TRACK

テーラーメイドトラベル専門の旅行会社、株式会社コスモクラーツトラベル代表。細やかな気遣いと豊富な人脈や知識を必要とする、VIPのハンドリングに定評があり、日本、海外のVIPを多く顧客にもつ。みずからの旅の経験や視点、世界の人脈を駆使し、テレビ番組や雑誌の海外企画も担当している。


月別アーカイブ: 12月 2011

アップグレードに観る人間模様

冬休みの海外旅行がまもなくピークになります。私は、某ラグジュアリーリゾートホテルグループの日本代表を8年努めているのですが、非常に込み合うこの時期、今年も、私が担当するホテルからプチトラブルの報告が入ってきはじめました・・・。そんな時期なので、トラブル事例をひとつご説明しましょう。
比較的部屋数の多いホテルでは、たくさんのお客様がいらっしゃるので、事件発生率も自ずから高くなるわけですが、よくある事件が、アップグレード問題。要するに、同じ日本人なのに、アップグレードされる人とされない人が出てしまった場合。この恨みというか怨念というか、アップグレードへの執着は相当なもの。
パッケージツアー用の契約には、ROHという契約があります。Run of the houseの略なのですが、団体用に設定されたホテルの客室料金形式で、簡単に言うと、禁煙、喫煙、ツイン、ダブル、ビューなどすべて含めて、一切部屋指定できませんよ!そのかわり安くしまっせ!という契約。客室の多いホテルは、ホテルの稼働率をできるだけ上げたいというのが心情。客室が多くなると、ビューの悪い部屋。フロントからものすごーく遠い部屋、小さい部屋、ときには、過去に何かあった部屋(ちょっと言い過ぎ)などどうしても売りにくいルームカテゴリーが出てしまうんです。そういった売りにくいルームカテゴリーの稼働率をも均一化する必殺技が、この「ROH」なんです。最近だと、オクトパスなどの海外ホテル予約サイトなんかみてみると、料金のとなりに「ROH」表記がされているケースも見かけるようになりました。
一部の特別なパッケージツアーをのぞいて、料金的に安いパッケージツアーは、だいたいが、このROHという料金契約によって作られたもの。ホテルからすると「安く泊めてあげてるんだから、あまり文句言わないね〜」くらい思っていることでしょう。でも、シーズンによっては、本当にホテルがパンパンで、ボトムのルームカテゴリーもオーバーブックしてしまうことがたま〜にあるんです。そうすると、誰かをアップグレードしたり、ダウングレードしなくては収まらない状況に。そんなとき、外国人は、ダウングレードをお願いするときも、いろいろなベネフィットをご提案すれば、「ラッキー!」という感じで了承してくれるのですが、日本人ゲストがリストに上がってしまったときは、結構大変。まず、ビジネスとしてあり得ない!からはじまり、帰国したら、徹底的に追求するから!などなど、とにかくいろんなお言葉を頂戴します。そのときの口調は相当なものです。ただ、ダウングレードとかならまだいいのですが、本当にホテル中の部屋がなくなって、他のホテルへ移動させられる「キックアウト」という措置もまれに起こる。キックしてアウトさせちゃう!すごい業界用語。
そんなことはさておき、先日起きたトラブルは・・・もちろんアップグレードに関するトラブル。某航空会社系パッケージツアーでいらっしゃたお客様と、中堅リゾート専門旅行会社手配でいらっしゃったお客様が、同じ混載バスにのって、リゾートへご到着されました。この2組のお客様は、車中で仲良くなり、お互いのツアーの内容は、ほぼ同じということを確認したみたい。ホテルとの契約は両者ともROH。しかし、某リゾート専門旅行会社のお客様が、アップグレードされっちゃたので大変なことに。某航空会社系パッケージツアーでいらっしゃったお客様は、「私たちは、天下の○○(某航空会社系パッケージブランド)で申し込んで、しかも高い料金払ってるのに、どうして、某中堅リゾート専門旅行会社の客がアップグレードされるのよ!」と怒り心頭。ボトムのお部屋がオーバーブックしたので、誰かをアップグレードしなくてはならない状況になってしまったこと自体がそもそもの問題なのですが、ホテルも航空会社もいかに在庫をなくすかを考えないと、収益があがらないビジネスモデルなので、キャンセルを見越して部屋数以上の予約をとってしまう「いけない習慣」があるんです。でも、ホテルの立場だと、お客様がそれぞれの旅行会社にお金をいくら払ったか分かりませんが、ホテルが旅行会社から受け取る金額は同じ。であるなら、今までたくさんのお客様を送ってくださった旅行会社のお客をケアしたい!こういう思考が働いてしまうわけです。でも、こういうことにとても執着する日本人が意外と多いの。根本的に、大切な旅でこういう思いをしたくないのなら、安いツアーに申し込まないで、直契約を持っている旅行会社に、ルームカテゴリーやロケーションを指定して予約を入れるなどのことをしないと、上質なステイは約束されません。特に、ハネムーンなど特別な旅行のときは、オーバーブックの犠牲にならず、むしろ、ホテルから大切な客としてあつかってもらえるよう、予約ルートや予約価格を注意してくださいね。安い予約には、ホテルが注意を向けることはまずありませんから。逆に言うと、上質なルートからの予約、よい価格での予約(いわゆる儲かる客)は、大切に扱われるので、予約時の価格は若干高いけど、部屋がアップグレードされたり、チェックアウト時間を遅くしてくれたり、トータルで考えると、結果的に得する場合も多いので。
アップグレードがお好きなら、アップグレードにふさわしい客になりましょうね。


カテゴリー: 未分類 |